死神を背負って君と歩く 06話

あのね、あのね、テリーくん。

ぼっち旅が嫌だからってのはいま適当に考えた理由で、ぼっちはそんなに嫌いじゃないのよ。ひとりの時間は大切だし好きだよ。だってひとりでゆっくりできるの大事だもん。だからその(いい歳した大人がぼっちはイヤだとか何言ってんだ)みたいな視線を……やめて……! いい歳した大人でも(ひとりさびしい)と思うことはおかしくないし、やろうと思えばそこらへんで全力で駄々をこねるのだってできるんだからな?! 単にメリットがデメリットを追い越せないからしないだけで、大人が子どもっぽいことする可能性はゼロじゃないということさ……! まあだからといって「今の大人だって昔はみんな子どもだったから」と主張するのは暴論すぎるけどね!

ちなみにわたしはいまひとり寂しいと思ってすらないのでここで暴れたりしないのである。えっへん。

そしてこれは完全に関係のない余談なんだけど、今わたし世界規模迷子っていうか、世界規模ホームレス……? ゔゔん、ただの根無し草でマジで目的も何もないのよね。ちょっとこの歳で無職は嫌なんですよ……その件については冒険者名乗っときゃどうにかなりそう感はあるけど。

ともかく衣食住整わず夢もないとかそんな生き方はイヤなのだ……イヤなのだ……。大事なことだから2回言うね。

「……それで、他には」

「え?」

「おれが姉さんを探す旅にあんたがついてくる以外の対価だよ」

「……ええと、足りなかった?」

「足りないも何もこっちが払えなさすぎるだろ」

だいたいあんたがついてくるってのは剣の指導とかをするのに必須条件なんだから対価にならないだろう、とテリーくんは言う。うーん賢い。そりゃそうだわね、この世界テレワークとかZOOMとかないから何をするにも基本現地で実地で、となる。つまりは、旅に同行しないと何も教えられないというワケ。

(うーん、本当に旅に同行させてくれるだけでいいのにな……)

困ったな。「じゃあ出世払いにすればいいよ」とでも言おうか?

「……出世払い?」

やっべ、声に出してた。……ええい、ままよ!

「そ、出世払い」

テリーくんが(なんだそれは)という疑問符いっぱいの顔になった。年相応な雰囲気が少し戻ってきて、わたしはにこにこした。

「テリーくんが成長して、強くなって、お姉さんを助けられるくらいになったら対価を払うって方式だよ。本当のこというとね、わたし今テリーくんが支払ってくれる対価を考えろって言われてもすぐ浮かばないんだ。でもひょっとしたら、テリーくんにあれこれと教えている間に浮かぶかもしれないでしょ?」

どうかな、と問うと考えている様子が伺えた。

どきどき。

どきどきどき。

「……」

「……」

「……まぁ」

勝訴です!!! 裁判はしてないけど!!!!!

やったー!!!!!

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