TOA旅路メモ 起

――――これはともだちを失いたくないとねがう話。

 

本編メモ TOA編 承転結

 

 

【Part00:落下前後の話、または原作数年前の直前期】

ともだちと見なしていた分史ミラの精神だけ(※そのほかはすべて正史ミラが持っていったので、精神しか残らなかった・残せなかった)を後生大事に抱えて渦の中(≒世界の狭間、不安定な場所という解釈)。突入したこのタイミングとヴァンが「預言の無い世界の人間を召喚」したタイミングが合致したために、オールドラントへ引きずり込みやすい対象にいの一番にピックアップされてしまって落ちてきた模様。

もしもあの渦の中から脱出できなかった場合には(回収だけはできたはずの)分史ミラの精神すら消滅してしまい、千代子も心身ともに重傷を負うことになるため、ある意味ヴァンはファインプレーかましたとも言える。しかしその事実を千代子たちが知る術も機会もないし、ヴァンに救われない限りは千代子が彼を恩人と思うこともないだろう。

異世界突入と同時に分史ミラの精神は音素レベルで組み替えられたのか、千代子の中に吸収、元通り再構築された。便宜上この現象を“吸収擬似コンタミネーション”と仮称するが、原理の一切は不明。ただ、千代子の裡側に分史ミラが居て、対話・通話ができ、千代子の見聞きしたことや体験したことをリアルタイムで共有できていることは双方確認でき(てしまっ)ている。描写としてはアクゼリュス崩落以降のルークとアッシュの視界共有ほか、不思議連絡網と酷似しているかも。

千代子は自分が意識的にしたことではないにしろ、こうなったことに申し訳なさを覚えている。一方で分史ミラは『どうせ精神だけじゃどうしようもなかったし、……別にいいわ(本当に死にたかった訳でもなし)』と思っている。また分史ミラが(かつて)持っていた精霊の主としての素養の名残が影響したせいか千代子に引き継がれ、この度四大元素(火水土風)が使えるようになった。

たぶん幽波紋スタンドを活用すれば、千代子の“影”をミラの姿に象らせて個別に行動することも多少可能かと思われるが、射程範囲を越すと急に消えることになるため多用は難しそう。あと衝撃のあまりそこまで頭が回っておらず、その可能性に思い至るには時間がかかると思われる。

 

 

【Part01:原作数年前、ダアトで発見される】

千代子、ダアトで導師になるための教育を受けていたオリジナルイオンのもとに不時着。すでに“更新”現象が始まっており、その苦痛を分史ミラにまで共有しないよう必死で堰き止めている。意識は朦朧としており、身体はうまく動かせないので端的に窮地。そこをオリジナルイオン(導師になる前)が興味津々・面白半分で連れ帰ったので九死に一生を得たという構図(=オリジナルイオンは恩人)。なお召喚者であるはずのヴァンと被召喚者の千代子がこのタイミングで出会わなかったので、二者間での契約は締結されていないし、千代子による恩人認定はされなかった。もしここでヴァンと出会っていたら・彼に助けられていたらルークたちの旅が1周目からアンノウン仕様になるところだった。紙一重でセーフセーフ。

それからというもの、イオンの実家で療養したり身寄りがないことが知られ「うちの子になったらいいよ」攻撃を受けたりイオンが弟分になったりあっちも満更でもなかったりなんやかんやあって過ごしていた。オリジナルイオンにとって新しい玩具のひとつだったかもしれないが、そんなことは千代子にとってどうでもよかった。自分に危害が与えられている訳でもなし、本当にどうでもよかったのでここぞとばかりにともだち扱いしていた(=千代子は意図していなかったが、だからこそ結果的に彼を絆した)。このとき、オリジナルイオンからは「それなりに頭がいいのにコイツったら馬鹿だなあ」と呆れられてる。無意識に微笑まれてたりもする。

導師に選ばれた後に彼が己の寿命を知ってしまい荒れたときも変わらず傍にいたのは、千代子にとってイオンは大事な恩人で、ともだちだったから、ただそばに居たかったから。その愚直すぎる心をオリジナルイオンも分かっていて、手放し難くて手放せなくて、導師になっても傍に置いていた(※見逃される職権濫用)。だからアリエッタを人間として・導師守護役として育てるときも一緒だったし、己の死に際にも千代子を付き添わせた。《この自分をともだちとか呼ぶんなら、この先一生忘れないでいろ》、姉貴分にそういう愛/呪いを遺言に死ぬつもりだった(※なおその呪いをかけずとも千代子はイオンのことを忘れる予定もつもりも毛頭なかったので杞憂に終わったといえる)……のだが、気づいたら己の身体はベッドから消え、己の姉貴分の中にいた。

当然オリジナルイオンは混乱した。
千代子も混乱したし、彼女の中にいた分史ミラももちろん混乱した。
けれどこの場において3人の結論はひとつだった。

 

 

《このままここ(教団本部)に居る訳にはいかない》

 

 

・千代子
⇒面倒を見ていたアリエッタやシンクたちが心配ではあるが、教団に居続けるにも(最近怪しげな研究員も徘徊しているので)身の危険を感じるため逃げたい。本心ではシンプルにオリジナルイオンが正しい形で生存していない以上は居る意味がないとも思っている。逃げたい気持ちに寄った板挟み。

・ミラ
⇒やや同上。自分だけでなく緑色の坊やまで身に宿していることが判明してしまったら千代子の身が危ない。実験動物として人権なんて忘れ去られた扱いを受ける予感しかない。自分のともだちにそんな目に遭われるのは嫌すぎるし、このわたしと一蓮托生しているわけなんだから早く逃げなさいの一言。

・オリジナルイオン
⇒自分が関わっていた計画に協力するような研究者連中に千代子が捕まったら自分のこと考える暇無くなるよな……という傲慢な支配欲で「逃げようよ」と言っている。また、アリエッタには悪い(と思ってない)けど敢えて傷つくような去り方をすることで彼女にも疵を残したいし、千代子が今回後ろ髪引かれるような思いで去ることでも自分の爪痕を残したい。自分のことで頭がいっぱいになって欲しい系男子(12)。こんなショタ怖すぎる。

 

よって、(多数決の結果)千代子はほぼ身一つでダアトからこっそりと脱出した。

それから生計を立てるため、彼女は傭兵になり、数年かけて少しずつ名を挙げていった。

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