【速報: お向かいの牢屋に傷だらけのショタが投獄されました。←New!】
(New! じゃねえんだよな〜〜〜!!!!!!)
事案〜〜圧倒的事案〜〜〜〜!!!! やっと快復してきたと思ったらこれだよ! 心のほうが先にギャン泣きしそうなんですが!!!!
あの、あの、ショタをボコったうえに牢獄にブチ込むって悪魔の所業すぎない??? 一体そのショタが何をしたっていうの……? 自分たちに都合のわるいこと? 最悪何もしてなくても言いがかりつけて投獄とかもありうるけど……、でも、こんな小さい子供相手に?
はて。
(ショタ…………?)
もしや件のミレなんとかちゃん関連では????
はっとして、見やるが、ショタは無遠慮に放り投げられて地に突っ伏した状態にあるので、ちょうど顔が隠れてしまって、顔立ちはよくわからない。そもそもここの牢屋は暗くて、見えづらいのだ。
こっそりと近づけるだけ近づいてみる。このショタの身長はミレなんとかちゃんより小さいのだと、目視でわかった。髪は、白髪……ということはそうそうないだろうから、おそらく銀髪。しかし傷だらけで衣服もボロボロ、ところどころ血が滲んでいる。返り血もいくらかはあるかもしれないが、滲み方からしてこれは本人の血だろう。怪我の手当などされていないので痛ましいにもほどがある。呼吸をしている様子はあるから、死んではいないようだ。とはいえ、万全な状態ではないのは明らか。
というか、こんな牢屋みたいな不衛生なところに怪我したショタ連れてくるのやめてくれ。最悪傷からばい菌はいって死に至るだろうが。あっ、倫理観とか衛生観念問うてる場合ではなかった。
「……、………………ぅゔ……」
ややか細い唸り声。まだ声変わりもしていないだろうボーイソプラノが小さく響いた。次いで、名も知れぬショタ(推定テリーくんとやら)がよろけながら身を起こす。
「……ここ、は……?」
「──ガンディーノのお城の地下にある、牢屋だよ」
「だれだっ!」
弾かれたように振り向いてショタが吠える。声は元気だな、と少々場違いな感想を心の中で唱えつつ、わたしはゆっくり笑顔をつくった。
「はじめまして。わたし、千代子。うっかりここの王様に目をつけられた末、投獄中なの。悪いことした覚えはないのにねえ」
君は?
ショタはなにも答えなかった。防犯意識が高くて結構。でも、先ほどと違って顔はこちらを向いて、意識も向けてくれている。彼の顔や身体の見える部分には腫れた箇所がいくつかあって、やっぱり顔面も身体もどこもかしこも遠慮なく殴られたんだな、とすぐにわかってしまった。相当なダメージを負ったことだろう。
眼を、見た。紫の瞳は、ミレなんとかちゃんとは全く色彩が違うものだったし、眼光もいっそ荒々しいほど、まるで抜身の刀みたいで似ても似つかないものだったが、目鼻立ちが彼女を彷彿とさせた。
「……もしかして君って、テリーくんとやら?」
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